カ行
KADINIA LIMITED
オーストラリア・ビクトリアに位置するカーディニア牧場。ここで育てられた羊はオーストラリア全土の羊数の僅か0.0005%、約600頭しかないという稀少性の高い羊。このカシミアより細く、ハリコシのある羊毛は、ウルトラファインウールと呼ばれ、その多くは極上テーラードスーツに採用されている。
カーコート
ショートコートの一種で、自動車運転用のコート。デザインのディテールや素材はまちまちだが、着丈は指先丈が原則。スポーティで機能的なコートである。
傘(ブリッグ)
フォックスかブリッグかの選択は難しいところである。フォックスのシャフトは鉄骨だが、ブリッグのシャフトとハンドルのマテリアルは一本の木である。したがって、携えた時、フォックスのような細身の小粋さは感じられない。代わりに、いかにも英国というどっしりとした重厚感がある。ハンドルのカーブまで熟達の職人の手作業である。頑丈な木を、折れないようにU字型に曲げるのは大変な作業であろう。英国王室御用達の逸品である。
傘(フォックス)
細身の傘は英国人がもっとも好む。サヴィル・ロウ仕立てのピンストライプやチョークストライプのスーツにぴったりだからであろう。英国人のサミュエル・フォックスが鉄骨せいの傘を初めて手がけたのは、今から130年も前のこと。以来、鉄骨のリブ(親骨)とシャフト(中棒)を使用した傘が世界の主流になっていった。水に強いナイロンを用いたのもフォックス社が初めてである。
カシミヤ
ヒマラヤ山麓カシミール地方原産の カシミヤ山羊の毛のことを言う。カシミ ヤの毛の触感は柔らかくてぬめりがあ り、保温力にすぐれている。その上に 絹のような美しい光沢を持っているが、 一頭で僅か150g~250gしか採れな い。(一枚のセーターを作るのに3頭分 の毛が必要) 上質のカシミヤの毛は、15~16ミクロンと非常に細い。カシミヤの毛は採毛に 手間がかかり、糸にするまでの歩留りも悪いために希少価値が高く、繊維そのも のも極めて優れた性質をもっているので、最も高価な原毛の一つとなっている。
中でも中国産のスーパー・ホワイトと格付けされた白色のものが最高とされている。
・カシミアの紺色のジャケットの、ダブルのジャケット。
・ツィードの杉綾の、シングルのジャケット。
以上の2着のジャケットは、もっともクラシックである。ウィンザー公の時代からモダンクラシックを表現し、ほとんど変わらないまま、現在もモダンを表現し続けている。
ただしこの2着のジャケットに関しては、できうる限り上質なものを選択する。少なくても20年は長持ちし、20年愛用すれば絶対に手放したくなくなる。
年数を経れば経るほど、その着古した感じがエレガントにつながる。理由は、素材の具えた質感で、その質感がプロポーションt見事にマッチしているためである。
2つのジャケットには、いずれもブラウン系のスウェードの紐付きの靴を合わせる。
カシミアについて
カシミアは、インドの北方に位置するカシミール地方からの伝来である。
この地方の山羊は、寒さから身を護るために、冬のあいだ喉のあたりから腹にかけて長い粗毛が生え、さらにその下に、シルクのような細くて柔らかな5センチから8センチほどの柔毛が被い、体を保護している。
春が来ると、山羊たちは自分の体を岩や樹々にこすりつけ、冬のあいだ被っていた毛をそぎ落とす。その柔らかな方の毛だけ採取して、ショールを編んだことが、ファッションアイテムとしてのカシミアの歴史の第一歩である。今からじつに500年前のことである。
カシミア
獣毛素材の一種で、カシミア山羊の毛。そもそもカシミアなる名称は、その原産地たるインド北西部の地名カシミールに由来する。毛質は細く、柔軟で独特のぬめり感があり、保湿性に富む。主産地は中国、中央アジア、中近東など。
これからの季節、カシミアのジャケット、オーバーコートが活躍します。カシミアにもピンからキリがあります。安いものはコートでも3万円からあります。しかし、カシミアの本質と、仕立ての良さのバランスがとれたカシミアコートは最低40万円前後です。これは1つの目安です。この価格が一番、値段と質のバランスがとれています。決して安い買い物ではないので選ぶ場合は慎重に選ぶことが大切です。
カスケード・ストライプ
幅の異なるしまが順に並んだもの。滝じまとも呼ばれる。カスケードは、小滝、分かれ滝の意。
カッターウェー
モーニング・コートのアメリカでの俗称。前裾が大きくカッター・ウェーされているところから、こう呼ばれる。(「ファッション薀蓄事典」 邑 游作 アポロ出版株式会社 P189)
ガーズマン・コート(Guard’sman coat)
ガーズマンは衛兵、近衛兵の意で、衛兵の着用する両前オーバーのこと。これから転じて、一般の両前オーバーより裾まわりが広く、丈の長いオーバーのことをいい、ときには背ベルトや背ヒダをつける。ガーズ・コート、ガーズ・オーバーと同意語。
カッタウェイフロント(Cutaway Front)
前裾を大きく切り落とした(カッタウェイ)スタイルを指す。モーニングコートの前裾が代表的で、アメリカでモーニングコートをカッタウェイと俗称することが多いのは、もともとフロック・コートの前裾を斜めに大きくカッタウェイしていることに由来する。今シーズン(01.秋)のクラシコ系スーツにも多く見られ、立体感を出しつつ、胸から裾に向って体に沿いながら、流れるようなラインを生み出すには高度な技術が必要である。
カッターシャツ → ドレス・シャツ
ワイシャツと同義。つまり、スーツとともに着用されるドレッシーなシャツのことで、ワイシャツというのが主として関東を中心に、東日本で多く用いられるのに対し、カッターシャツという言葉は、関西方面を中心にしようされるというちがいがある。この名称は、カッターというボート競技の選手ユニフォームからきたという説があり、cutter shirtと綴ることもある。
おもしろい語源説は、1918年のこと、神戸の美津濃というスポーツ店からカッターシャツという名の斬新なシャツが売り出された。ちょうど第一次世界大戦が終わった頃の話で、日本がこの戦争に勝ったことを記念に「勝ったシャツ」、これを英語風にアレンジして「カッターシャツ」という商品名が生まれた。(実際のところはよくわからない…)
カッティング
注文服を作るための素材の裁断。テーラーの語源は、もともと「切る者」で、スーツ発祥の地のロンドンでは、生地の裁断技術がもっとも重要視された。
カナーリ
1934年、伊・ミラノ近郊で、ジョバンニとジャコモ・カナーリ兄弟が創業。レインコートで成功し、規制スーツを手がける。
カバートコート
カバートクロスと呼ばれる、霜降りないし杢糸使いの梳毛ギャバジンで作られた背広襟の膝上丈コート。ノッチドラペルでボタンは比翼仕立て。ウエストをややシェイプしたデザインが特徴で、イギリスでよく見かけるコート。
鞄選びの5つのポイント
最良の鞄選びのポイントは、プロポーションそのものではなく、鞣し、コーナー、把手、錠前、ミシン目の5つに帰結する。お洒落をする上でプロポーションが問われるものは、直接人の身を被うものだ。鞄は服装の一部に違いないが、道具でもある。
スウェイン・アドニー・ブリッグ
1750年創業。馬車用の鞍で英国王室ご用達に。次いで手袋、傘、ステッキ、鞄などがロイヤルワラントに。英国王室のご用達商品がすべていいとは言えないが、鞄と傘は特筆すべき逸品である。
カフ
「袖口」の総称。ドレス・シャツのカフスにはシングル・カフス、ダブル・カフス(フレンチ・カフス)、コンパーチブル・カフスの種類がある。またアメリカではスラックスの裾口をカフスと呼ぶこともある。(「ファッション薀蓄事典」 邑 游作 アポロ出版株式会社 P190)
カフスボタン → カフ・リンクス
ドレス・シャツ(ワイシャツ)の袖口を飾る装飾的な留め具の総称。フォーマルウェアに多く用いられるが、ごくシンプルなものならビジネスウェアにもOKである。より正確にいうならダブルカフスのシャツにのみ用いるメンズ・アクセサリーということになる。カフスボタンというのは、まったくの和製英語で、英米ではカフ・リンクス(袖口用の輪、環という意味)というのはふつう。カフスボタンでは袖口ボタンの総称になってしまう。
ダブルカフスがフォーマルかどうか?という話を聞いたことがあるが、ダブルカフスは腕まくりの印象があり、あまりフォーマルに向いてないという意見もある。迷った時はシングルカフスが無難だろう。
カフス
~開き見せ~
縫い目が開いているように見せる飾りだけのあき。上着の袖口に見られるデザインが代表的で、実際に開けたり閉じたりはできないものをいう。
~本開き~
本切羽ともいう。ジャケットのの袖口のボタン穴を、ステッチだけなく、実際に開けたもの。
カフスについて
シャツのカフスは常にジャケットの袖口から覗いてなければならない。その昔、貴族達は上着の袖口からレースの襞(ひだ)飾りを見せることになっていた。袖口からなにか白いものを覗かせるのはその時代の名残である。シャツの場合には約2センチほど出ているのが理想とされる。
また、カフリンクスで留めてよいのは、二重に折り返す正式のフレンチ・カフである。貝ボタンを使用しないフレンチ・カフは、折襟やカッタウェイ・カラー、ピン・カラー、などのドレッシーな襟型に合わせるのが鉄則。もう少しカジュアルな襟にはツー・ボタン・バレル・カフ(袖口を二個の貝ボタンで留めるデザイン)がふさわしい。もっとも一般的なのは、シングル・ボタン・バレル・カフであり、合わせる襟型はほとんど問わない。
カフリンクスについて~1~
カフリンクスはチェーン式のものが伝統的なスタイル。昔は身支度をする時召使いにカフリンクスをつけさせる習慣があった。
正統派カフリンクスを付ける時のコーディネイトはあくまでもドレッシーが原則。ダークスーツに白のフレンチカフスのシャツ、ネクタイはシルバーのソリッドタイなどで端正な着こなしが要求される。華やかなレセプションやパーティー、結婚式でぴったりくる装いである。
カフリンクスについて~2~
カフリンクスの登場は19世紀のことである。当時のドレスシャツは袖口ともにかたく糊付けされていたから、貝ボタンで留めるよりもカフリンクスのほうが留めやすかった。所期のカフリンクスはボタンに似せた形を鎖でつないだものであった。やがて両側から挟み込む「プレス・スタッド・リンクス」があらわれ、1930年代に「クム・ア・パート・カフ」の固有名詞で呼ばれたものがその代表選手であった。あるいはボタンの中間を伸縮性のある鎖でつないだタイプも考案され、「トーピード・リンク」の名で呼ばれた。現在のように「ジョインテッド・バレル・クロージャー」(バネ式のアシで留める式)の簡便この上ないスタイルが一般化しても、チェイン型は依然として伝統的なカフリンクスの目印となっている。
カフ・リンクス~3~
カフ・リンクスとは日本でいうカフス・ボタンのことだ。カフはシャツの袖先のボタンを留める部分をいう。左右の袖先の開いた部分をリンク(繋げる)するから、カフ・リンクスになる。カフス・ボタンは和製英語である。
ビジネスOKのカフリンクスとNGのカフリンクス
ビジネスに向いているのは、シルバーかゴールドの無地の細工のもの。適不適は職種や社風によって違ってきますが、シルバーかゴールドならどこでも通用します。
反対にNGはガラスのカット細工のようなもの。グレイゾーンなのはエナメルや七宝もの。柔らかめの会社なら問題ありませんが、会議には不向き。
かまえり
背広やコートの衿から肩にかけての形状をさす言葉で、衿を低く平らに寝かせたものをいう。衿元がすっきりした感じになり、服の重みが肩にかからない。フラット・カラーともいう。対して、衿が立った感じに見えるものを「ぼうえり」(棒衿)と呼んで区別している。(「ファッション薀蓄事典」 邑 游作 アポロ出版株式会社 P190)
カマーバンド(Cummer bund)
タキシードに用いられる、腹巻状のものをいう。ベストの役割をはたしている。タキシードのラペルに用いられる拝絹と共地でつくられ、ヒダがついてるが、ヒダ数は別に決まっていない。もともとは、サッシュ(腹帯)にヒントを得て作られたベスト代わりの帯であり、1893年に生まれたものといわれている。また、これを真似てベスト型にしたものがあり、カマーベストと呼ばれている。
カマーバンドについて
ディナージャケットには必ずカマーバンドを巻くことになっている。これは本来、インドの民族衣装であり、かの地で暑さに耐えかねたイギリス人が礼装用チョッキの代りに着用したのがそのはじまりである。カマーバンドの襞は必ず上を向くように巻くのが正式。かつてはこのプリーツの間に小さな隠しポケットがあって、オペラの切符などをしのばせたものである。
カラースリップ
モーニングコートのベストの衿に付けられる、白い足し衿のこと。慶事の場合のみ使うものである。しかし、現在では使われることはない。(「ファッション薀蓄事典」 邑 游作 アポロ出版株式会社 P190)
カマーバンドの3つの溝
カマーバンドには、3列の溝が切られている。オペラの切符を入れるためである。切符を落とさぬよう、溝部分を上にしてウエストに巻く。
ガーメントバッグ
スーツやジャケットを収納するための専用バッグ。ハンガー付きで、シワを防ぐ細工が施されている。
カラーセパレーテッドシャツ
襟の取り外しができるドレスシャツ。またはクレリック式のシャツのこと。
体の線を強調する服と体の線を包み込む服
「強調する服」は、クラシコイタリアのスーツのような西欧流の仕立服。それは、ウェストポイントを中心にして胴体をしっかり絞り、肩腺は着る人にぴったり合わせ、アームホールも小さめに作られている。いわば、着る人の体の線に沿って仕立てた、ボディの美しさを強調した服。
「包み込む服」、この考えの基本は、鍛えられた人間の体は美しいものだけど、すべての人間にそれが当てはまるものではないというもの。年齢と共に体の線は崩れ(変化し)、民族によって体格の違いもある。「包む服」とは、そうした体の欠点を隠し、ボディ全体のシルエットをバランスよく整える役割を果たすべきだ、という考えによって作られたものである。
カルゼ(Kersey)
しっかりとした肉厚のウール地で、やや太い、やや粗い感じの綾目の走った生地。現在では多く、スポーティなコートなどに用いられます。
カルゼ(Kersey)
英国サフォーク州のKERSEYの地名をつけたもの。タテに杢糸を使った、畝のはっきりした急斜紋の厚手の綾織物。非常に丈夫なので、耐久力の必要な軍服やコートなどに使われている。カバート・クロスというのが正式な呼び名。
カルロ・リーバ(carlo riva)
イタリアのメーカー。旧式の織機にこだわり、手間暇かけた最高品質の素材を製造しているため、流通量が極端に少ない。その稀少価値から生地の宝石と呼ばれることもある。イタリアの高級シャツメーカーが愛用することでも知られ、繊細な質感に特徴がある。
カラー&ラペル
Lシェイプド・ラペル
上襟が下襟よりも幅が狭く、ゴージのラインがL字型になったラペルのこと
クローバーリーフ・ラペル
上襟、下襟共角を丸くしたノッチドラペル。花弁襟と訳される。下襟だけを丸くしたのはセミ・クローバーという。
Tシェイプド・ラペル
上襟の幅が下襟よりも広く、ゴージがT字型になったラペルのこと。
ナロー・ラペル
テーラード・カラーでレギュラー・ラペル(8~9cm位)より狭い幅のもの。流行によって5cm程度まで狭くなることがある。
ノッチド・ラペル
菱形の襟。片前背広襟ともいわれ、昔からシングルブレステッドジャケットに多用されている。
ピークド・ラペル
剣襟。下襟の先端が上に向いているもの。両前背広襟ともいい、ダ部rブレストのものに多用。
フィッシュマウス・ラペル
上襟が丸く、下襟が水平にカットされている。クラシコ・イタリア系の上着によく見られ、魚の口を連想させる形から命名された。
ボウド・ピークド・ラペル
ピークド・ラペルの一種。イタリアのファッションデザイナー、ジョルジオ・アルマーニの1989年秋冬コレクションのダブル・ブレストの上着に採用されて話題となった弓形カーブを特徴にした独特のピークド・ラペルのこと。つまりショールカラーのような曲線を持ったピークド・ラペル。
カラーレスジャケット
衿無し上着の総称。ビートルズが初期に着用したステージ・ユニフォームのカルダン・ジャケット。また、チロリアン・ジャケットやカーディガンジャケットにこのタイプのものが見られる。(「ファッション薀蓄事典」 邑 游作 アポロ出版株式会社 P191)
仮縫い
仮縫いとは、「シツケ糸で仮縫いすること(Basting)」 と、「それを本人に着せつけて試してみる(Fitting)」と、二つのことを意味している。だから、前後の文脈からどちらの意味で使っているか推測しなくてはならない。
ガンクラブ・チェック
19世紀末、アメリカ東部の銃猟クラブ(アメリカン・ガンクラブ)が制服としてこの柄を採用したことからこの名がつけられました。
違う配色のシェファードチェックを重ねて二重格子にしたもので、黒・白と茶・白との組み合わせがオリジナルとされています。
冠婚葬祭に黒を着るというのなら。
冠婚葬祭は、ぎれいに先んじ、喜びや哀悼という個々の感情を衣服に託さなければならない。慶事には自分が晴れやかな気分になれる服。弔事にはしめやかな気持ちになれる服だ。人の情感をこれほど強く衣服に託さなければならないのは、冠婚葬祭だけである。決まりごとなどなにもない。哀悼や弔事は、きわめて個人的な事柄だからだ。慶事・弔事ともに、黒い服で済まそうとするならば、慶事には光沢のある黒、弔事には、光沢の無い黒を選ぶ。
CANTS
ミラノ名門ファクトリー、カンタレリグループの別会社から03年にデビューしたニューブランド。「ジャンフランコ・フェレ」や大手ネクタイメーカー「マンテロ」でテキスタイルを担当した経験を持つアントニオ・マトッツォ氏がディレクター。シェイプの効いたナローシルエットが特徴でデザイン感度が高い。
かんぬき(閂)
ポケットの口、ズボンの小股など、そ他ほころびやすい箇所を丈夫にするため工作。普通、穴糸を使用するものを刺し抜きかんぬきといい、ミシンでする場合はミシンかんぬきという。
閂留め(かんぬきどめ)
ポケットの口、そでぐりの開き留まりなど、縫い留まりを補強するために用いられる留め縫い。ミシン縫いでする方法と、芯糸を通して裏面まで針目を通し、巻き縫いする方法がある。
着心地の良さ
服の着心地の良さとは、独立したキレの断片が重なり合ってるにもかかわらず、人が動いたときに連結部分が少しも引きつらず、身体に柔らかくフィットし、動きが静止したときにバランス良く元に戻る美しい統一感を具えていることである。つまり、つなぎ目部分に柔軟性があればあるほど服は着心地良くなっていく、これが手仕事の妙なのである。
生地の表と裏の見分け方
1、綾目が右上がりとなってる方が表。但し、シャークスキンの場合、織り方を右上がりにすると、柄の出方は左上がりになるので、通常は左上がりに見える方が表。
2、ヘヤー・ラインは経方向になっている方が表。
3、表面の毛羽が短くて、キレイに刈られている方が表。
4,柄の出方がキレイで、規則正しく出ている方が表。
生地の「腰」
柔軟性があって、しかも反発力があり、シワの回復を秘めているハンドリングのことを「腰がある」といいます。これとは反対に、軟弱で頼りない感じを「くた」とか「たら」といいます。
ここで注意しなければいけないのは、腰の「ある」「ない」と、「固い」「柔らかい」とを混同してはいけないということです。固く、しっかりした服地が、必ずしも腰があるとは限りません。一旦シワになったら回復しないかも知れないからです。触った時に柔らかく感じても、シワになりにくく、シワになっても回復力のある服地のほうが「腰がある」のです。
この「腰」というのは、服地として大変重要な要素で、仕立て映えや、着用性の良し悪しに大きく影響します。
「生地の風合」の判断基準
①しなやかさ ②弾力性 ③張り ④腰(シワの回復力、ドレープ性) ⑤シャリ感 ⑥ふくらみ などの物性面だけでなく、発色のよさ、艶などの視覚面も加味した総合評価に「風合」という表現を使っていると理解してください。
しかし、風合の基準は必ずしも固定されてはいません。例えば、高品質のウーステッドでは「シャリ味」は「よい風合」ではありませんが、夏物のモヘヤ・トロピカルでは「シャリ味」は「よい風合」として評価されます。
このように、服地には普遍的な絶対的評価というものがありませんから、「風合」という漠然とした用語がむしろ便利と言えます。
(「シャリ感」というのは、触った感じがシャリシャリしてて、ちょっと固めの生地を表現するために使います。夏物はこのシャリ感が清涼感につながります。)
既製服は「初めに服ありき」、仕立服は「初めに人体ありき」
既製服は「初めに服ありき」だからこそ、ディスプレイが必要で、姿がある商品は、すべからく他者と差別化するために、その姿の外見の変更が加えられ、それが現在の既製服の根本理論を支え、成立させている。同時に、仕立服に接近していた30年前の服とは異なり、現在の既製服は、単に機械を用いて大量生産されるから既製服という概念には結びつかず、外見にさまざまな変更が加えられた、多様化した服と考えるべきで、その現実が服自体を複雑に、服選びを、軽く、迂闊にさせがちにしていることは間違いない。
生地の「ぬるみ」
「腰」と並んで、服地評価の重要な項目の一つです。原料のもっている内部の柔軟性と服地表面のなめらかさを併せ持っている感触を「ぬるみ」といいます。
良質のメリノ羊毛はカシミヤなど、原料自体がもっているソフトさに、最も大きく左右されることは確かですが、それに加えて、服地表面のなめらかさや適度の弾力性が感じられなければ「ぬるみがある」とはいえません。それには糸の撚回数、織物の密度、組織綾、整理方法など、すべての点でバランスがとれるような細心の注意が必要です。
キッド
子山羊。または子山羊の皮のこと。きめが細かく光沢のあるのが特徴。靴や手袋に使われるがいずれも高級品の代名詞である。(「ファッション薀蓄事典」 邑 游作 アポロ出版株式会社 P191)
キッドモヘアを略して「キッド」と呼ぶこともある。
キトン
南イタリアの高級既製服ブランド。キトンの特徴は三つある。一つは常にソフト感のある高級素材を使用していること。二つめは、その素材を生かすために、作業は機械だけに頼らず、パートによっては熟練した職人が手で縫い上げていること。三つめは、独自に開発した芯地である。
ギーブス&ホークス
英国・ロンドンのサヴィル・ロウ1番地のテーラー。18世紀末に創業。もともとは、英国海軍の将校の制服を手がける。英国王室の服を作ることで知られる。
ギャバジン(Gaberdine)~1~
本来はタテに梳毛糸を密に配列しヨコに綿糸を使って急斜紋の綾織とし、それに防水加工を施した織物で、主としてレインコート地として用いれていた。現在はオールウールの反染めとしたものが多く、クリアな表面感と美しいドレープ性で人気がある。
ギャバジン(Gabaedine)~2~
綾織物の一種。綿とウールが中心だが、その他の繊維で作られることもある。定義は者文線がよこ糸の方向に対して45度以上の角度をなす。語源は中世スペインの「風雨よけ」すなわち雨合羽を意味するガバルディナからきたとする説が一般的。だが、一説には中世フランス語のガバディン(ユダヤ人の着た上っ張り)からとも。いずれにしても、この綾織物は中世ヨーロッパに起源を有し、16世紀に入って一般化した。
ギャバジン~3~
綿とウールが中心で斜文線がよこ糸の方向に対し、45度以上の角度をなす綾織物。バーバリー社のコットンギャバジン「バーバリークロス」が有名。
ギャバジン~4~
ウール、またはコットンから作られる綾織り地。綾目が斜め65度の角度にのぼっていくのが特徴。それぞれ、「ウールギャバジン」、「コットンギャバジン」の名称で呼ばれる。昔は仕事着、子供服に使われることが多かったが、現在ではコート、スラックスの生地として使われることが多い。どんな色でも少し白っぽく染まり、金属的な光沢が出る。戦後ギャバジンルックとして大流行したことがある。(「ファッション薀蓄事典」 邑 游作 アポロ出版株式会社 P192)
キャバルリー・ツイル(Cavalry twill)
厚手で丈夫に織られた畝の深い二重綾で、非常にはっきりとしたダイヤゴナル柄を特徴とする織物。さまざまな素材で作られカジュアルなスーツ、ジャケットなどに用いられる。キャバルリーの乗馬ズボンに用いられたことからこの名がある。
キャメル(Camel)
中国の内モンゴル、モンゴル人民共和国など、中央アジアの砂漠地帯に棲息するフタコブラクダの毛のこと。長くて剛い外毛の下に生えている柔らかい毛が、春に脱毛するのを梳いたり拾ったりして集める。カシミアの毛と似ている。
キャメル~2~
中国、モンゴル、チベット、イランなど中央アジアの砂漠地帯に生息する2つのこぶを持つ双峰種ラクダの毛。太さ15~24ミクロン、長さ25~130ミリの細く柔らかい原毛を使用。ポロコートに多用される素材として有名。
キャラコ
平織りコットン地の一種。日本の金巾(かなきん)の俗称である。カリコ、キャリコとも呼び、本来インドのカルカッタなどから輸入される綿織物の総称であった。アメリカでは、モスリンよりラフな感じのプリントしたコットン地をこの名で呼んでいる。(「ファッション薀蓄事典」 邑 游作 アポロ出版株式会社 P192)
オーバーコートの裾や、前身ごろの端が伸びないようにテープ代わりに細く割いて使う。
キャリック
聖職者が着ていた外套を、タウンウェア風にデザインしたもの。
ギンガム(Gingham)
多くは格子柄であらわされる平織りの綿布のこと。ギンガムチェックとして有名。
強撚糸(きょうねんし)
標準的な撚り数(1mの間に300以上の撚りをかけた糸)よりも強い撚りをかけた糸のこと。強い撚りのことを甘撚りに対して、強撚という。強撚糸は甘撚りの糸に比べ硬くてしゃり味のある糸になる。(しゃり味とは、夏物のモヘアにみられような、しゃりしゃりした手触りのことである)
きんぐせ(ドレスカット)
きんぐせは、普通は縫製工程上で、睾丸のはいらない筒のほうを、前身の小股から内股の膝あたりまで、1.5センチ程度けずります。
金の鋏賞
二年に一度ローまで開催されるイタリアのテーラー達のコンクールで、最高の作品に授与される賞。各地で選抜されたテーラー達が、本選開催地のローマで競う。審査委員長はイタリア有数のテーラー、ミラノのフランコ・プリンツィヴァッリ。
グァナコ
南米アンデス山脈に棲息する野生のラマ。ヴィキューナ同様、高級毛織物素材。
クアトロピエゲ
芯地は使用しているが、裏地部分から小剣通しまで表時を使用した作りの4つ折りネクタイ。大剣折り返し部分を両サイドに折り返し、裏と表が同じシルク生地となる贅沢な作り。「フォーフォールド」ともいう。
15 MIlmil 15 (クインディチ・ミルミル・クインディチ)
エルメネジルド・ゼニアが生み出した、原毛の直径15ミクロンの最高級生地。この極上の生地はきめが細かく、しなやかでしっとりしたその触感は何よりも群を抜いている。身体に吸いつくような軽さ。
グアナコ~2~
南米アルゼンチン南部パタゴニア地方に産する野生ラマの毛。かつてはビキューナの代用として使用されたが、現在はワシントン条約で保護され、非常に稀少価値が高い。
クチュール(Coture)
裁縫する(フランス語),創り手側の総称。デザイナーによるオリジナルスタイル。
クチュール,またはデザイナー・ブランド
パリの著名なクチュール(高級衣料店)や著名なデザイナーが、それぞれの個性を生かして独創的なコレクションを組んだものです。ネーミングの使用量が含まれるので、高額なブランドとなります。ランバン,ジバンシー,イブ・サンローラン,ヴァレンチノ・ガラバーニ,ウンガロ,クレージュ・オム・,ダンヒル,など。
靴下(hose)の語源は水を撒くホース
ホーズの語源は、オランダ語で「(水を撒く)ホース」である。靴下の円筒形が、ホースに似ていたためだ。靴下はいつの時代もホースのような円筒形で人の脚を被ってきたのである。
日本に現存する最古の靴下は、水戸光圀所蔵と推定される300年ほど前のものだ。素材はシルク、膝下までの長い靴下で、昭和35年か光圀の長持ちから7足発見された。素材と時代から推察するならば、南蛮からの献上品であることはほぼ間違いない。
靴下の役割
靴下の役割は次の4つである。
1.足および脚の保護
2.素肌を人目にさらさない
3.素肌を装う
4.靴とともに足元を引き締める
靴下は靴とともに足元を引き締める
足元を引き締めるという意味は、靴との競合ではなく、靴とのよきハーモニーである。
調和のために必要なものは、靴を引き立てる上品さで、靴の下着的目的ではない。
現代のズボンは、裾が靴にまで達する。靴下は見え隠れする程度である。その見えるか見えないかの部分にまで、細心の注意を払うのがダンディズムなのだ。
見えるか見えないか程度ならいいという考えは禁物である。安易な考えは、メーカーやブランドの横着につながる。需要はないから、または売れないからという理由で、それを作らないのは、靴下屋に限らず1つの大きな怠惰である。クラシックな男のファッションを追及していない証拠である。
メーカーやブランドは、需要を作るためにの努力をし、たとえ少数でもクラシックな靴下を、常に売り場にディスプレイすべきである。その類の靴下がないために、お洒落な男たちは4千円近く支払って、イタリアや英国のクラシックなホーズを求めるのだ。
クラシックで上品なホーズは、日本では稀少である。男たちのクラシックなアイテムの中で、これほど品薄のものはほかに見あたらない。
靴下は、それ自体、男の装いの1つと考えるべきである。靴下は靴の犠牲になるべきではない。
靴のお洒落
靴のお洒落は、スーツスタイルより、スーツ素材との相性にポイントを置く。
例えば、グレイのフランネルのスリーピースには、フランネルに合わせて黒のスウェードのウィングチップを選ぶ。理由は簡単だ。フランネルという毛羽立った素材には、つるんとした靴より穴飾りのあるデコボコした靴が合う。スウェードのざらつき感も、フランネル素材にピッタリだ。スリーピースを要素に入れると、フォーマル性が加味されるので、違った選択になる。服装のルールを知っている人なら、たいていの場合、黒のストレートチップを選ぶ、それではつまらない、ありきたりのお洒落になってしまう。
靴の製法について
靴の製法は次の四つに順位付けられる。1.手縫いによる製法。2.グッドイヤー・ウェルト式。3.マッケイ方式。4.セメント方式。
1→4の順位付けは一般的に次のような意味を持つ。高価格→低価格。手間ひまがかかっている→かかっていない。重い→軽い。履き心地がよい→悪い。
靴のグッドイヤーウェルト方式
二百数十工程をかけたハンドメイド。ウェルト(Welt)とは、靴の底と甲を結ぶ細い皮のことで、その名の通り甲・中底・本底をウェルトで縫い付ける、靴作りではもっとも手間ひまかけた方法で、何度もリメイクできるのが最大の利点だ。半永久的リメイクに耐えるためには、パーツがよほど厳選され、頑丈でなければならない。
靴下のロゴマーク
ロゴマークは、もともとスポーツプレイヤーが、ブランドから金銭と引き換えにそれをユニフォームの胸や袖に付け、観客にそれとはなしに分からしめるためのものである。顧客は、本来なら、ロゴを身につけ、電車やバスに乗るたびに、デザイナーやブランドから金をもらう立場にあるのだ。
日本の靴下のロゴマークが大きいわけは、それがデザインされているためではなく、それを目立たせようとしているためである。
靴下は、ポロシャツのような大きな面積を持っているわけではない。男が身につけるアイテムの中では最小のものである。他人の目にさらされる場所も一定している。
男の足元を引き締める、そのわずかな隙間をマークが堂々と占有しているという現実に、我々は疑問を持つべきである。
ロゴマークが、いちばん好きなのはアメリカ人と日本人である。ロゴマーク付きの靴下は、長かろうと短かかろうと絶対に履いてはならない。足元のバランスをぶち壊す。クラシックをぶち壊す。ダンディズムをぶち壊す。
クラシックスタイルに用いられる靴下
クラシックスタイルに用いられつ靴下はニッカーホーズのみである。靴下底から膝下までの足および脚をゴムホースのようにピッタリと被う。
ヨーロッパのホーズの長さは、伝統的に38センチ、50センチ、50センチ以上と3タイプに分類され、50センチがもっとも多く出まわっている。
イタリアでホーズをオーダーすると、特別に指定しなければたいていの場合50センチで仕上げてくる。ダース単位で注文を受ける。ネクタイ同様、自分一人のための、世界でわずか12足のホーズである。
日本人の平均的な膝から下の長さは40センチ前後、50センチはやや長い。だが靴下はそれを履いたとき、横に引っ張られるため、長さに関しては少しばかり余裕を持たせた方が履きやすい。50センチでも問題ない。もしオーダーするなら45センチがよい。
首回り
首回りはお洒落のスタートラインであり、すぐ上に載っかった大きな顔を引き立てるという2つの役割をこなす。ついでに言えば、洗練された優雅さの表現のためには、服装だけではこと足りず、英国のチャールズ皇太子のような、ときには渋く、ときには血筋を感じさせる上品な外面も必要だ。お洒落は常に顔が付属し、顔の色や表情と密接な関連があるからだ。顔をほどよくそれなりに見せるためにも、首回りは大切な部位なのである。
靴について
ダンディを目指すならば、靴に対して最大の敬意を払わなければならない。同じ靴を2日続けて履いてはならない。足入れした後は、3~4日は休ませる。休ませる時は、必ずシューキーパー(木型)を入れなければならない。そのあいだに磨きこむ。この3つが靴のメンテナンスの最低条件である。
クラシック
クラシックなスタイルの基本は
トータルなバランスとディテールへのこだわりにつきる。
ネクタイ、それに合わせるシャツ、靴、チーフにいたるまで
すべてのディテールにこだわりながら、
全体的なバランスを作り上げていくことである。
(By ウンベルト・アンジェロニ)クラシックという表現から、古典的な服を想像しがちだが、本義は、インターナショナルなビジネスに耐えうるスーツのことである。時々のトレンドは存在したにせよ、原型のナチュラルなスタイルは、ほぼ一世紀前に確立されている。
服に限らず、最初からクラシックなるものは存在せず、時代とともに無駄や虚飾が殺がれ、洗練され本質に迫っていく。それがたまたまクラシックと呼ばれているだけである。
クラシックな服の第一条件は、ビジネスをこなすための機能性である。動きやすく、着心地がよくなければならない。機能性は靭やかな曲線をそなえたナチュラルなショルダーに帰結する。肩はスーツの生命線で、肩を形成するラインが自然であれば自然であるほど、肩から腕、肩から身頃にかけての全体のプロポーションは、服の中に収容された人間を際立たせ、個性を前面に押し出してくれる。服だけが目立つことはない。
軍服を考えて欲しい。軍服はある規範の中で、相手を威嚇するために、プロポーションを意識的に角ばらせる。怒り肩で、絞りを効かせる場所は、徹底的に絞り込む。服を目立たせ、服の中の人間が見えてこないほうが、目的を達成するために都合がよいからである。中世の鎧や兜の思想そのままなのだ。
人と人とが、肉体ではなく頭脳でぶつかるビジネスには軍服の思想は不要である。ビジネススーツは、軍服とは対極に位置するアイテムなのだ。
個性の強調こそが大切で、そのためには、服は控えめで脇役に徹するべきである。必要なものは、肩を中心にした、体に沿った素直さだけである。それが現代のビジネススーツなのだ。
ディテールは、あまり気にすることはない。現代的な美しいビジネススーツとは、ウェストはやや絞り気味、二つボタンないしは、位置の低い三つボタンの、中一つがけ、ノーベントといったところ。
「クラシックという言葉は、古いファッション用語のように思えるかもしれませんが、私にとっては反対です。服というものは、変化させずに何年も着つづけられるべきものだと私は思います。」 BY イヴ・サンローラン
初めからクラシックなるものは存在せず、時代とともに無駄や虚飾が殺がれ、洗練され、本質に迫っていく。それがたまたまクラシックと呼ばれているに過ぎない。
正しいクラシックスタイル
日本人は、Vゾーンにこだわりすぎたという歴史がある。ネクタイは最大の敬意を払うのはかならずしも悪いことではないが、我々はVゾーンを目新しくするために柄ばかり留意し、長さや作りにあまりに無関心だった。ネクタイは上質のものが20本もあれば十分である。
同様に、靴やホーズの素材や作りにも無関心だった。
正しいスーツスタイルはここのアイテムの集積なのだ。Vゾーンはクラシックなスーツスタイルの、ほんの一部である。Vゾーンに気をとられすぎ、我々は西洋のファッション先進国に比べ、はるかに遅れをとってしまった。
正しいクラシックスタイルとは、ウンベルト・アンジェロニが述べるよう1つ1つのアイテムを決しておろそかにせず、トータルなコンビネーションを作り上げる。コンビネーションとは、バランスで、バランスとは、クラシックスタイルという同一目的のために、男のすべてに衣服を統一することを意味する。
クラシックスーツとは
クラシックなスーツとは、テーラーの血筋を感じさせる服のことをいいます。個々の体をぴったりと被う服です。お洒落になるためには、まずクラシックなスタイルを覚えるべきです。それが男の装いの基本だからです。基本を覚えず、いろいろ試みても、お洒落は上達しません。なぜならお洒落は学習で、学習は基本を覚えないと上達しないからです。
既製服は、誰にでも合います。誰にでも合うということは、誰にも合ってないことを意味します。ひとつの体に完全にフィットするのは、その人のための、世界でただ一着に仕立て服しかありません。
クラシックスタイルについて
クラシックスタイルといっても、ビジネスの側面としてだけで考察するならば、デザイナーのスーツ同様で、世の中全体がネオ・クラシックの方向に向いていれば、当然作り手は、売らんがために手替え品替えするわけで、中にはクラシックとは名ばかりのスーツも存在し、時には必要の無いデザインが巧妙に加えられ、それがクラシックなものを扱うショップに置いてあるという今の日本の現実を忘れてはいけない。
イタリアという国は、ビジネスとあれば何でもこなす器用さを持ち合わせ、さらにスーツを作る工場にはこと欠かず、例えばバイヤーが、日本ではクラシックスタイルが好まれているが、ただのクラシックでは売りにくいから、南のトレンドを入れてくれというようなことを具体的に注文すれば、それ向きの工場を選択し、そんなふうに作ってしまう。しかし、それがときにひねりを加えすぎ、とんでもないモノができあがったりする。憂うべきはそれがトレンドとして日本で成立し顧客が信じてしまうことである。
クラシックスタイルについて(2)
クラシックスタイルとは、昔ながらの伝統を受け継ぐ正統なスタイルという意味である。昔ながらのスタイルということではない。スーツスタイルの正しいルールを継承した、時代時代を代表するスタイルである。その意味ではモダン・クラシックである。
クラシックスタイルについて(3)
クラシックなスタイルは基本さえ覚えてしまえば、そんなに難しいことはない。だが基本を覚えるまでは、ほかのスタイルに手を出さない方がよい。流行のスタイルは、常に魅力的だからだ。
一度わき道に逸れるとなかなか元には戻りにくいのは人生と同じである。流行をどうしても追いたい人、その必要性がある人は、クラシックスタイルの中でも、デザイン性の強いものを選択する。イタリアの南のスタイルにはその類のものが多い。
クラシックスタイルを覚えてしまえば、時と場合に応じて好きなものを身につければよい。フォーマルな場に出るときは、自然にクラシックスタイルを選択するはずだ。それがもっとも正しい装いであることが身に染みて分かり、ほかのスタイルを拒否するようになる。
クラシックスーツについて(4)
古くならないものは常に新しい。時を経ても古く感じないもの、スーツに限らず、例えばVネックや丸首のセーター、さらに家具や文具が新鮮さを保っていられる理由は、その製品が完成の域に達しているためで、デザイン・機能ともにそれ以上手を加えられないからにほかならない。クラシックスーツは常に新しいのである。
クラシックスタイルに向いている色・形・組み合わせ ~1~
正しいクラシックスタイルに、いちばん向いている柄は、紺地に穏やかなチョークストライプの入ったスーツである。ピンストライプは、ときとして、ストライプにパワーがありすぎる。地の色との相性の問題もあり、コントラストの明暗が鮮やかになると、いささか品に欠ける。
紺無地は、色を選ばなければならない。鉄紺のような深い色であれば上品である。
それ以外の紺は、コーディネイトしだいで華美な印象を他人に与える。鉄紺より淡い紺に、強い色のプリントタイのコーディネイトは最悪である。個性を完全に殺す。
クラシックスタイルに向いている色・形・組み合わせ ~2~
ネクタイに限っては、西洋人そのままの模倣はタブーである。イタリア人好みの、紺のスーツに黄色のタイのコーディネイトは、顔の色がイタリア人と異なる日本人には似合わない。黄色のタイを締めるときは、顔を日焼けさせてから後のことである。我々は、自分達の肌が黄味がかっている事実を忘れてはならない。
クラシックスタイルに向いている色・形・組み合わせ ~3~
スーツのチャコールグレイ地は、無地でもストライプでも上品である。
黒と白はもともと色ではなく、単なる明るさの度合いで、その中間はグレイだからである。チョークストライプ、ピンストライプは白い色であり、グレーとは相性がよい。
ダブルのスーツは、6つボタンの方が、よりクラシックを表現しやすい。4つボタンのダブルのスーツは、ややカジュアルな雰囲気を醸し出す。伝統的にフランス人は4つボタン、英国人は6つボタンを好む傾向がある。
ダブルのスーツのボタン位置は、Vの字型に上に広がっていくほど、カジュアルな印象を人に与える。
クラシックスタイルに向いている色・形・組み合わせ ~4~
「ビジネスのルックスとして考えるならば、
ダブルのスーツは昼間の通常のビジネス用、
大切なミーティングのあるときは、必ずシングルのスリーピースを着る。
ベスト付きは、いつでもジャケットを脱げるからだ。」
(BY ジェイムズ・アンガス・パウ)
<鉄紺の地に、チョークストライプの入ったシングルのスリーピースは、クラシックスタイルの基本である。>
クラシックスーツも変化し続けている
例えば、3つボタンが盛んになる。流行を追うブランドはいっせいに3つボタンを作る。中にはとんでもない位置にボタンを付けた上衣も登場する。プロポーションも、3つボタンのために犠牲にされるときもある。
店頭から2つボタンのスーツが消える。ショップは、3つボタンしか売れないといい、客は3つボタンしか売ってないという。その微妙な言葉の隙間に、流行という力学が作動する。
ショップが必要としているのは、スーツでなく、「売れる3つボタン」なのだ、だがクラシックブランドは、3つボタンでクラシックが表現できるスーツは、どんなプロポーションなのか模索する。模索のために時間をかける。その時間がクラシックをさらに熟成させる。
トップボタンをやや下げることはかんたんだが、ボタン間隔を操作する必要がある。クラシックなスーツのボタン間隔は決められている。
両サイドのポケットの位置もルールがある。もっともバランスのよい位置は、半世紀ほど前にすべてが決定されてしまっているのだ。
「男のスーツはミリ単位」といったのは、ファビオ・ボレッリである。
そこにクラシックなスーツの難しさがある。ミリ単位の中で、彼らはプロポーションを優先してさまざまな細工を試みる。さまざまな細工を試みることができるのはテーラーだけである。クラシックな服作りをする既製服ブランドに、テーラー出身が多いのはそのためである。
彼らはクラシックという基盤の上に、ディテールを巧みに変更しながら、バランスよくモダニズムを重ね合わせる。クラシックなスーツが決して古くならず、常に新しい理由はそこに存在する。
クラシックなスーツは、時代の流れとともにモダンという武器でたえま無く身じまいを修正し続けているのだ。
何もかも変化する斬新なデザイナーのスーツと基本的に異なるのは、その点である。
クラシックスタイルのトレンド
クラシックスタイルは、厳密にはトレンドと連動するが、ほとんどはディテールの変化にすぎない。
デザイナーのスタイルのように移り変わりが激しいものではない。
ごく穏やかに、ほんの少しの外観だけが変化していく。
ベイシックなファクターは、すべてが不変である。
いささかの変化は、主としてマーケットの需要による。最大のマーケットはニューヨークだ。ニューヨークは、常に新しいモノを求める。イタリア、フランス、英国のファッション業界、とくにデザイナーたちにとり、需要の多いニューヨーク市場はきわめて魅力的なのである。
クラシックスタイルのディテールの変更は、トレンドの中の確かなものだけを選別する。トレンドには悪趣味とよい趣味のものがある。よい趣味のものは長く残り、悪趣味なものは短命に終わる。これも歴史的法則である。
クラシックスーツとデザイナースーツについて
クラシックなスーツは、伝統的な作りが優先される。デザイナーのスーツは、彼らのイマジネーションが優先される。彼らがいかにデザインされた服をイメージしようとも、基盤はクラシックに存在する。ひとつのモノが存在し、それを模倣したモノが誕生する。服に限らず、歴史の必然である。デザインされたスーツは、始めからクラシックなスーツとは別の服と考えた方が分かりやすい。だが、最近は、デザイナーたちもクラシック的雰囲気を具えたスーツをデザインするようになってきた。
クラシックなスーツ
クラシックなスーツは、人の体にフィットしなければならない。
着心地ののすべては肩と、脇の下からウェストに続く絞りがすべてであり、その他の部分はあまり関係ない。この2点に、ていねいで巧みな細工がほどこされていれば、スーツは自ずと体にまとわりつく。
人の動きにともなって自然なシワはあちこちに出るが、それは美しいシワであり、人が動きを止めれば嘘のように消えてしまう。一流のオーケストラのコンダクターの背中のシワに注目すべきだ。彼らは常に背中の観客を意識し、最高の仕立ての服を身につけている。指揮棒を振る彼らの背中には、複雑で動きの速いシワがあちこちに這いまわるが、指揮棒を下ろした途端に、すべてのシワがあっという間に、それもいっせいに消えてしまう。クラシックで仕立てのよいスーツは、人の筋肉や皮膚と同じ働きをするものなのである。
クラシックスーツ
クラシックスーツとは、単に古いということではない。伝統的な服という意味でもない。服で伝統的という言葉が当てはまるのは、民族衣装だけだ。クラシックスーツとは、(近代社会に対して)整合性と精神的秩序を保ちながら、ある一つの確立されたスタイルを持つ服の事である。西洋のクラシックという言葉は服のみならず、人の精神性が必ず付帯する。
クラシックなズボン
クラシックなズボンはウェストのくびれにシッカリとフィットする股上の深いズボンのことをいう。安定感があり、下半身のプロポーションを美しく引き締めてくれる。
股上の浅いズボンにより、サスペンダーは用いられなくなってしまったが、クラシックで正しい男のスタイルは、股上が深いズボンをサスペンダーで吊る。
椅子から立ち上がり、下がりぎみのズボンを上げる動作をする人がいるが、欧米ではもっとも見苦しいとされる。それを避けるために、スーツスタイルが一般的になった当初から、サスペンダーが使用されたのだ。
クラシックなズボン(2)
ベルトは、もともと紳士のズボンを支えるものではなく、兵士達がさまざまな武器を下げる道具として考案されたものである。したがってクラシックなスタイルのズボンは、ベルトループ(ベルト通し)なしで、股上の深いものが正しい。
昔からスーツは肩で着るといわれているが、上衣もズボンも支える場所は肩だからである。上衣は肩が無ければ着られず、ズボンはサスペンダーにより肩で支えるためである。
ただサスペンダーは肩がこるという欠点を持っているため、敬遠する人が多い。しかしながらサスペンダーの代用としてベルトを用いるのはクラシックではない。スーツスタイルのシルエットは、常に上から下へ流れてるためで、ウェストラインにベルトを巻くと、その流れを横に2つに断ち切ってしまうためである。もし、正統なクラシックを装おうとするのであれば、ズボンはベルトレス・スタイルを選択すべきだ。
クラシックなタイ
もっともクラシックなネクタイは、表地と裏地すべて同一のシルクが用いられていなければならない。通常は、裏地は単なる裏地にすぎないのだが、表裏同一のシルクを配したネクタイが、クラシックなスタイルとして、ここ数年既製品市場にも登場した。
半世紀ほど前の作りをそのまま踏襲、再現したもので、多くはイタリアのハンドメイドによる。
オーダーメイドの名残りで、シルクは普通のタイの2倍以上使用する。大剣の裏側が5つ折り、または7つ折りに細工された凝った作りで、装飾品としてのネクタイの最高の完成度を具える。
日本での入手価格は2万5千円ほど。普通のタイの2倍は長持ちする。シルク素材もきわめて上質だ。昔のシルクはすべからく上質で、上質なシルクでなければ、それほど凝った細工はできないためである。
クラシックな靴について
靴の整合方法は次の通りである。
1.手縫いによる方法
2.グッドイヤー・ウェルト方式
3.マッケイ方式
4.セメント方式
1→4の順位付けは、(例外があるが)一般的に次のような意味を持つ
高価格→低価格
手間ひまがかかっている→かかってない
重い→軽い
履き心地がよい→悪い
クラシックなスタイルにフィットする靴
重厚なフィーリングを具えたクラシックなスーツにフィットする靴は、スーツと同じような雰囲気の重厚感を漂わせていなければならない。重厚感は、グッドイヤー・ウェルト方式で作られた靴がもっとも正しく表現できる。歴史と伝統を具えているからだ。
どんなに素晴らしいスーツを着ていても、足もとの軽薄さは、すべてをぶち壊す。ギョウザのような靴は論外である。脱ぎ捨てた自分の靴がもしギョウザのように見え始めたら、すぐにその靴は捨てるべきである。
クラシコ・イタリア
イタリアの伝統的なクラシックファッションを今に残す、メンズのトータル・ファッション・アソシエーション。スーツ、ジャケット、靴、シャツ、コート、ネクタイ、パンツなどのブランドから構成される。
イタリアの伝統的なクラシックスタイルと、ハンドメイドの技術を残すことを目的にした、メンズのトータル・ファッション・アソシエーション。グループ総数20数社で構成される。
クラシコ・イタリアとは厳密に言えば、「ピッティ・イマジネ・ウオモ」という、フィレンツェで年2回開催される紳士アパレルの展示会に出品する、およそ19のクラシコ・イタリア協会加盟のブランドをいう。
クラシコイタリアのウェストラインについて
イギリスのスーツが胴体の一番細い部分をウェストラインと定めているのに対し、クラシコイタリアはもう少し下方に設定される。すなわち、おへそのやや下、腰骨上端のやや上。イタリアのスーツから受けるゆとりというか余裕の印象は、このウェストラインによるところが大きい。
クラシコスーツの定義
「男が公的な場でまとわなければならない、基本的な一級のスーツ」で、絶対条件は次の通りである。国際舞台で通用する。交渉ごとや礼節に適する。上品で実用的。情報発信がしやすい(自分が何者であるかを的確に相手に伝達することができる)。外見に時間の経過が表れない(流行にとらわれない)。
簡単に言えば、あちこちに余分な手を加えないテーラードスーツ同様、ナチュラルなプロポーションを保つ、ごく普通のスーツである。スーツのディテールは気にすべきではない。ディテールはたいていの場合トレンドと機能に直結し、着心地というスーツの本質とは関連性がないからだ。最近はディテールにとらわれすぎの感がある。プロポーションあってのディテールである。
クラシコスーツについて
「クラシコのスーツの条件は、バランスがよい。フィニッシュの完成度が高い。美が感じられる。スタイリングが優れている。それが内面のメンタリティを引っ張り出す。」(ベルベストのマテリアル・ディレクターのブルーノ・マルザロ氏)
クラッシュド・スタイル
ポケットチーフの飾り方の一種で、ペタル・トリートメントの別称。ポケットチーフの角を無造作に見せる方法である。タックド・インともいう。(「ファッション薀蓄事典」 邑 游作 アポロ出版株式会社 P192)
クラブ・ボー・タイ
ボー(bow)・タイの一種で、結んだ時の両翼が一直線の形になるもの。中くらいの幅で端がすべて丸くカットされている。黒、ミッドナイトブルーまたはダークブラウンのシルクやサテンで作られ、タキシードなどに用いられる礼装用のボー・タイである。「スクェア・ボー・タイ」の名称もある。(「ファッション薀蓄事典」 邑 游作 アポロ出版株式会社 P193)
クリケット・トリコロール
フランスの国旗に見られる「紺」「白」「赤」の3色で構成された配色をトリコロールと呼ぶのに対して、「黒」「白」「赤」の3色でのそれをさす。クリケット競技のユニフォームに因んだところからこの名称がつけられた。(「ファッション薀蓄事典」 邑 游作 アポロ出版株式会社 P193)
クリーズ・ライン(Crease line)
ズボンの折り目やラペルの返り線の折り目のこと。クリーズは折り目を指す。
クリスチャニ
フランスでもっとも著名なテーラー。フランスのVIPのスーツを、長いあいだ手がけてきた。パリで5代続いたが、現在は廃業している。
クリッツァ・ウオモ
1954年、伊、ミラノで創業。レディスのニットウェア、バッグ、アクセサリーから、87年にウオモ(メンズ)部門に進出。
クリップ・オン・ボー・タイ
最初からボー・タイの形に作られており、後ろに付けたバンドの端をクリップ留めにするタイプのもの。「ピアネス」と呼ばれることもある。ちなみに手結びタイプのボー・タイを「蝶ダービー」という場合もある。(「ファッション薀蓄事典」 邑 游作 アポロ出版株式会社 P193)
クリンプ(crimp)
捲縮(けんしゅく)。羊毛が他の繊維に比べて優れているのは「クリンプ」と呼ばれる強い縮れを持っている点だ。1本1本に強いクリンプがあるため自然に絡み合う力があって、糸にするには非常に好都合な繊維なのである。製糸の工程はこのクリンプの力を前提としている。
グループド・ストライプ
「郡縞」のこと。3本以上のストライプがグループとなって形づくられる柄。「クラスター・ストライプ」ともいう。(「ファッション薀蓄事典」 邑 游作 アポロ出版株式会社 P193)
グレイスーツの着こなし
グレイスーツは誰が着ても失敗のない無難なスーツである。その魅力は、ネイビースーツと違ってあまりかしこまったところがないこと。決して相手を緊張させることなく、普段着のような日常性を備えているので安心して着られる。けれどもその一方でグレイスーツは没個性になりやすいスーツでもある。
グレイスーツを周囲に埋没せず格好よく着こなせる人は、まず自分が似合うグレイスーツの色の濃度をよく知っている。自分の顔色にどんなグレイが映えるのか、普段からさまざまなグレイスーツを試着してみるのが有効である。
グレイスーツのコーディネイト
白シャツはもちろんグレイスーツに似合うが、1週間ずっと白シャツではさすがに印象にメリハリがなくなってしまう。グレイスーツを着た時にはシャツ&タイの配色に控えめな工夫を凝らしたいもの。例えば、シャツをブルーにするだけでぐっと洒落た雰囲気になる。グレイスーツの生真面目さを和らげ、適度な色気を引き出してくれる。
クレッセント ポケット
切り口を三日月状にカーブさせたポケット。ムーン・ポケットとも呼び、ウェスタン・ジャケットのポケットに多く見られる。
グレナーデン
光沢を特徴とした薄手絹織物のこと。ネクタイ生地として使われる。(「ファッション薀蓄事典」 邑 游作 アポロ出版株式会社 P193)
クレープ
強撚糸で織った表面にわずかに粒状のシボ(縮み)が出た生地。素材にシャリ感が出て清涼感がある。’80年代にジョルジオ・アルマーニが重用した。
クレバネット(Crevenette)
本来は純毛のギャバジンに防水加工をした布地の商標名ですが、現在ではタテ糸に霜降糸や杢糸を使ったギャバジンのことをいいます。
クレバネットよりも綾目の深いものをカルゼ、またはカバート・クロスといいます。
クレリック・シャツ → ホワイト・カラード・シャツ
見頃と袖を多くの場合ストライプ(縞柄)に、カラーと袖口を白にして切り替えた特異なデザインのドレス・シャツ。1920年代に大流行を見た男のシャツで、ひじょうにシャレた感覚がある。1960年代になって復活し、いまでは白襟と縞柄の組み合わせだけでなく、さまざまな変化があり、女性の間でも好まれている。クレリックは「牧師、聖職者」という意味で、牧師が着ていたというところからの命名とされる。
クレリック・シャツ
襟は白、身頃は色付きのシャツ。身頃の色が濃いと下品になる。クレリックシャツに似合うスーツ柄は、無地ないしは、淡いピンストライプかチョークストライプ。クレリック・シャツのルールは3つ。
1.一日のうちの早い時間帯に着る。夕方以降は避ける。
2.セミ・フォーマルな場所で着る。
3.ネクタイにできるだけフォーマル性を持たせる。無地かピンドット。
クレリック
クレシック・シャツ。襟、または襟と袖口だけが白で、身頃は色がついたシャツ。フォーマル性はない。クレリックは、聖職者が原義。
クレリックシャツ~2~
カラーとカフスが白で、見頃と袖がストライプなどの柄物か、色物となっているシャツ。ホワイトカラードシャツともいう。1920年代に大流行して以来、定番となる。
クレリックシャツ~3~
襟とカフスが白色で、見頃が違う色のシャツは、クレリックシャツである。身ごろの色はブルーの無地や、白地にごく細いブルーのストライプが多い。クレリックは、聖職者の意で、彼らが祭壇で身につける白のラウンドカラーから、そう呼ばれるようになった。クラシックなシャツだが、公式のパーティー会場で着るのはあまりお勧めできない。ちなみにネクタイは無地かストライプ柄がよく似合う。
グレンチェック(Glen check)~1~
14世紀にスコットランドのグレン・アーカート(アーカートの谷)で初めて織られたチェックで、以来アーカート民族のタータンとして受け継がれてきた。従って、正式には「グレン・アーカート・チェック」または「グレナカート・チェック」という。「プリンス・オブ・ウェールズ」と呼ばれるチェックも、このタータンの一種。
グレンチェック~2~
グレナカート・チェック、あるいはグレナカート・プラッドというのが本当の呼称。たて・よこ糸とも濃色2本、明色2本、濃色4本、明色4本の繰り返しで綾織りにして作った柄。千鳥格子とヘアライン(表面はたて縞、裏面が横縞になるのが特徴)を組み合わせた格子柄。
グレンプレード
大柄のグレンチェックのこと。正しくは「グレナカート・プレード」と呼ぶ。スコットランドのアークハート谷で、14世紀、キャロライン婦人によって織られたところからこの名称が付けられている。かつてウィンザー公が好んで服に用いたので「プリンス・オブ・ウェールズ・プレード」の別名もある。背広の柄としてはもっともオーソドックスなもので、ビジネス・スーツにも多用されている。(「ファッション薀蓄事典」 邑 游作 アポロ出版株式会社 P194)
グレイトコート(GREAT COAT)
グレイトコート。現在のオーバーコートと同意。英国ではそう呼ばれていた。
グログラン(gros-grain)
硬く密に織られた、横畝のある織物。もともとは絹織物であるが合繊や綿、ウールなども用いられている。ネクタイやリボン、ズボンの側章などに多用されている。
グログラン~2~
やや厚手で、しっかりした畝が横に並んだシルク地のこと。比較的ドレッシーな素材とされ、ネクタイ地、タキシードのアクセントなどに使われる。(「ファッション薀蓄事典」 邑 游作 アポロ出版株式会社 P194)
クロスオーバータイ
ネクタイの一種。リボンのような形の短いタイを襟元で交互に重ね、それを飾りピンで留めたもの。礼装用に使われる。コンチネンタル・タイの名称でも呼ばれる。(「ファッション薀蓄事典」 邑 游作 アポロ出版株式会社 P195)
クロスバー(Crossbar)
よこ縞。よこ筋縞。よこの縞のことで、おもに婦人服地向きが多い。ラテラル・ストライプともいう。
クロスブレッド
クロスブレッドとは雑種のこと。さまざまな種類の羊をかけ合わせて新しい血統を固定した羊。英国やニュージーランドの羊の大半は「クロスブレッド」である。有名なところでは、シェトランド、ロムニー、ブラックフェイス、チェビオット、サウスダウン、シロップシャーなど。メリノよりは毛は太く、品質もさまざま。特徴によって使い分ける。「その他」に分類されるのは、いっさい改良されていない野生種の羊の毛。
クローバー・リーフ
上衿と下衿の先をちょうどクローバーの葉のような形にカットした衿型。
クロンビー
「衣服のロールスロイス」とも称されるスコットランドの毛織物工場。鮮やかな色彩のツイードで名を馳せており、オーストラリア産の最高級羊毛及び子羊の毛、中国・ヒマラヤ産の最高級カシミア、南米のビキューナんど、贅沢な天然繊維の服地を提供し続けている。
結婚式にモーニングは不可
ジューンブライドの言葉通り、六月は結婚式が多い。壇上にはかしこまった親族、仲人は、相変わらず格式ばったモーニング姿が多い。コートの名残りと留める、時代がかった、結婚式のモーニングファッションはいいかげんやめにしてほしいものである。
百年前の、ヨーロッパの競馬場での正装は、結婚式にそぐわない。
ディレクターズスーツなる準礼装があるのだ。正礼装とされるモーニングが存在するため、ディレクターズスーツが準礼装とされるだけで、個人的には、このスーツが、夜のタキシードと並び、もっとも洒落た昼の礼装だと思っている。モダンで、世代を問わず着ることができる。汎用性があり、ベストとタイの組み合わせにより、個性の演出が自在である。
シングルでもダブルでもよい。色は黒を基本とするが、濃いグレイでもかまわない。ベストは黒よりも淡いグレイのほうが洒落ている。
シャツはレギュラーカラーで、タイはシルバーが基調のストライプ。足元はストレートチップで固める。
花婿(花嫁)の父親、仲人などの格式を云々する人もいるが、祝事の席である。格式より、自由で華やかな雰囲気を優先させるべきであろう。
出席者も一律に黒というのも、おかしな風潮である。ローマやミラノの結婚式はさながらファッションショーのように華やかだ。
出席者のスーツは、紺、グレイ、ブラウンでもいいではないか。ネクタイも、小紋やストライプなど自分が好きな柄を選ぶべきだ。白いタイは日本独特の習慣である。
花嫁は、神の前で愛を誓うので、白は必要な色なのだろうが、出席者は、花嫁を祝う立場である。出席者にとって、結婚式はパーティーなのである。
パーティーであることは、女性たちのファッションが証明している。あでやかで自由ではないか。彼女たちのパートナーが、同じような黒のスーツと白タイでは、見るからにアンバランスで、うっとおしい。
男も装い、楽しむ時代である。ファッションにルールはあるが、格式などありはしないのだ。( by 落合正勝)
毛芯(けじん)
ヘアクロス(たて糸に雑種羊毛毛糸、よこイトに疎剛なヘア糸を打ちこんだ、手触りの硬い薄地の平織り物)を指す。紳士用スーツに使われる芯地で、たて糸に羊毛系と綿糸を混ぜて織られることもある。馬の尻尾を用いた本バス毛芯は質が高い。弊店はもちろん、本バス毛芯を必ず使用しております。
結婚式の黒
結婚式の黒服は、戦後、ある服飾メーカーが「ソシアル・スーツ」(社交服)という名で、白いタイとセットで商品化し、それが流行、定着してしまっただけ。歴史的いわれもない。社交服が流行した裏には、戦前と比し、極端な儀礼が必要とされる催事の減少と、世界的な服の簡略化への流れ、さらに身分や宗教による服の規律を取り除こうという時代の動きも大きかった。
仲間内の祝いごとでは、その場を盛り上げるようなおもいっきり楽しい色を選びたいものである。
ケーブルストライプ
縞の線が綱のように撚れた形となっている縞柄のこと。別名をロープ・ストライプともいう。
ケンプ(Kemp)
死毛のこと。繊維が枯死した不良羊毛で、弾力が無く染めることもできないが、これを織物に応用してかえって味の出る場合もある。ホームスパンなどはケンプを使用している。
ケリーバッグ(Kelly bag)
バグの老舗エルメスが出しているクラシック・バッグ。モナコ王妃だったグレース・ケリーが妊娠の時、このバッグで前を隠した写真を撮られたことから、ニックネームとなった。
ゴージ(Gorge)
衿ぐり。あごぐり。身ごろの衿のくり。
ゴージライン
襟縫い線。スーツの上衣の上襟と下襟の縫い目。ゴージラインでスーツの表情が様々に変化します。
ゴージライン(1)
上衿と下衿を区切る線が、ゴージラインである。ゴージラインのスタート地点と、ゴージラインの傾斜の(角度の)おおよその目安を知っておくのが大切である。
クラシックなシングルスーツのゴージラインのスタート地点は、首筋から、およそ7センチ(3つボタンの場合)~9,5センチ(2つボタンの場合)の位置で、ゴージラインと下衿が作る角度(ゴージラインはスタートする位置の、すぐ下の角度)は、およそ50度、これがもっともエレガントに見えるラペル(衿)でこの2つの数字は大切である。
ゴージライン(2)
スーツの襟縫い線。上襟と下襟の縫い目。クラシックなスーツは、ゴージラインが高く、首筋から、およそ9センチの位置にくる。
コート
「コート」は上半身に着るものを総称していうもの。アメリカでスポーツコートといえばスポーティーな替上衣のことを指す。ブレザーもブレザーコートである。英国ではベストのことを普通にウェストコートと呼ぶ。モーニングコートやイブニングコートも上半身に着るものの意味である。したがって、わが国でコートと呼んでいるジャケットやスーツの上に重ねて着るように作られた防寒用や防塵用のものは、「オーバーコート」あるいや「トップコート」と呼んで区別している。
ゴーズ(Gauze)
薄くすきとおった平織物。オーガンディーと異なり、撚りのない糸でゆるく織られた木綿、絹、化繊などがある。
コート・ドレス(court dress)
18世紀初期にみられるドレッシーな正装。ベルベットのテイルコートと膝丈のブリーチズ、それに黒のシルク・ストッキング、バックル付きのロー・カットの靴をはく。そのスタイルに白い手袋、コックド・ハット(ナポレオンの軍装にみるブリムのはねあがった帽子)、装飾用の短剣を添えて完成する。コートは「廷」の意味がある。(「ファッション薀蓄事典」 邑 游作 アポロ出版株式会社 P195)
コードバン(Cordovan)
馬の臀部を鞣した皮で一般に赤味がかかった濃褐色見事な光沢をもった革。主に高級紳士靴に用いられるが、皮質は繊維組織が緻密で、長持ちするという点でも最良である。
コードレーン
細い畝織り地、また、レーヨン糸で織られた畝織り地のこともいう。夏用のスーツ、ジャケット、スラックスに多く使われる。木綿地で作られたそれを特に「コットン・コード」と呼ぶ。(「ファッション薀蓄事典」 邑 游作 アポロ出版株式会社 P196)
コードレーン
平織地に細かいヨコ畝が表れた生地。全体にハリとコシの強い生地で、清涼感と清潔感を満たしてくれるのが魅力である。サマースーツの代表選手といえる。
コットン・コード
木綿の細い畝織り地のこと。木綿のコードレーンのことであり、サマー・スーツ、ジャケットなどカジュアルな衣料に使われる。(「ファッション薀蓄事典」 邑 游作 アポロ出版株式会社 P195)
コットン・トラウザーズ
コットントラウザーズの中でもっとも人気のあるものは、アメリカ風に「チノ」(chino)と呼ばれるものがそれである。そもそもは英国のマンチェスターで織られたものであり、主として中国へ輸出されていた。が、第二次大戦の直前に、中国商人がフィリピン駐留中のアメリカ陸軍にこのコットン・トラウザーズを納入したのである。ために「チャイナ」転じて「チノ」と呼ばれるようになった。はき心地申し分ないチノは、今や盛夏のカジュアルトラウザーズの古典のひとつになりつつある。
コットンはあたたかい
昔、東北地方で刺子の技術が生まれた。厳冬を麻の着物で少しでも暖かく過ごしたいという願いをこめて、当時寒い地方では貴重品であった木綿の糸を麻布の上に刺したのである。衣服の保温性は、繊維自体の熱伝導率よりも、布地が含んでいる空気の量によって決まる。コットンの布地を起毛したり、パイルを立てたりして、ふんわりと空気を含ませれば、夏に涼しいコットンも、冬には暖かく着られるわけである。コーデュロイ、キルティング、起毛コットンなどは、冬に着られる暖かいコットンである。
コットンの最高級品
コットンはボイルタイプ(撚りを入れた夏物)とブロードタイプがある。ブロードは(一本ずつの織り)と双糸(2本ずつの織り)に分かれ、双糸は40番からほぼ20番刻みで、もっとも高い番数は200。簡単に言えばこれが最高級品である。
いうまでもなく、同じ面積の中に、細い糸を大量に使用すれば使用するほど、生地はますますしなやかに体を巻き込んでくれる。つまり着易さにつながる。そして、そのしなやか感は、着易さと同時にほどよい着崩し感も与えてくれる。
この点、糸の太い素材は体から浮いてしまい、フィット感に不満が残り、着崩したときにもだらしなく見えてしまう。
コットンの番手
シャツはできるだけ質の高いコットンを選びたい。通気性に富み、吸湿性が高く、日本の夏には最適。その基準の一つとなる数字(番手)は数字が高いほど、コットンは上質になる。もっとも高い番手は200だが、160程度で十分である。
コットンピケ(cotton pique)
表面に、太い畝織りまたは波状の浮き柄が表れた、格調の高い綿布。糊で固めて、襞状にしたものをシャツのフロントに使う。
コットンブロード(cotton broadcloth)
布面に繊細な横畝を表した平織り綿織物のこと。「シルケット加工」を施してあり、綿ながらシルクのように手触りが柔らかく、地合いが密で、光沢がある。
コットン・フランネル(Cotton flannel)
綿織物の一種で、甘撚のヨコ糸を使い、片側あるいは両面を起毛した平織りまたは綾織。保湿性があり、肌触りがソフトなのでパジャマなどに用いられる。ネル生地ともいう。
好みとトレンド
好みとは、ベントを切るか切らないか、サイドにするか、シングルにするか、切羽をどうするか、3つボタンにするか、2つボタンにするかという問題である。トレンドとはズボンの裾の折り返しを5センチ折り返す、ゴージラインを下げる。ラペルと胸ポケットの間に必要以上の幅をとる(フロントの第一ボタンを極端に上に位置させる)といった問題である。
前者はいずれもプロポーションを崩さぬ程度の範囲だが、後者は例えば折り返しを5センチにすると当然ぱんつすたいるの変更を余儀なくされ、ゴージラインを下げればラペルスタイルは変形し、それに伴いボタンの位置が変ってくるという結果を及ぼす。
ゴム製カフスについて
金属のカフスよりも格段にカジュアルな雰囲気を持っているので、ドレッシーなスタイルよりもリラックスした着こなしによく似合う。コーディネイトはカジュアル感をいかに演出するかがポイント。ゴム製カフスの軽さにマッチするスタイルが肝心。
コモ
もっとも高級なネクタイの産地といえば、スイスとの国境にほど近い北イタリアの街、コモ。緑に囲まれ、水のきれいなコモ湖に面したこの街は、1400年代からシルクの産地として栄えてきた。特に1700年代の半ば以降は世界的な産地として名声を獲得し、多くのファクトリーがここに集中した。さらに1872年に電気式機会が導入されてからは、テキスタイル産業の街として大いに発展した。現在では、ヨーロッパの高級ブランドをはじめとする上質なシルクタイといえば、たいていが”コモ発゛となっている。
ゴールコート
一般的に太畝コーデュロイやコットンスエードで作られ、裏にボアや格子柄のフラノ素材を用いる膝上丈コート。デザイン的にはバルキー調ニット使いの大きな襟(スパニッシュカラー)が特徴で、スパニッシュコートとも呼ばれる。
コロニアスタイル
20世紀の初期、インドや南アジア、アフリカなどの植民地で、ヨーロッパの人々が着た貴族趣味の夏スタイル。ナチュラルや白のリネン、折り返しの短いテーラード・ジャケット、ショート・パンツ、ハイソックス、白いひも靴、パナマの帽子など、数年ごとにノスタルジックに取り上げられるテーマ。参考映画「愛と哀しみの果て」、「ナイル殺人事件」
コンケーブ・ショルダー(Concaved shoulder)
コンケーブとは凹面の、中くぼみの、くぼんだという意味で背広の肩線の肩のひとつ。全体にわん曲して袖山で盛り上がったもの。ヨーロピアン調の背広にみられる。
コンサバティブ
「保守的な」の意味でプログレッシブに対して使われる。原型を保ったスーツや、ファッション的にみて保守的なスーツなどによく用いられる。(「ファッション薀蓄事典」 邑 游作 アポロ出版株式会社 P196)
コンケーブド・ショルダー
背広の肩腺(ショルダーライン)の一種。全体にわん曲し、袖山で盛り上がったもの。ヨーロピアン調の背広にみられる。コンケーブとは「凹型の、中くぼの、くぼんだ」の意味である。(「ファッション薀蓄事典」 邑 游作 アポロ出版株式会社 P196)
コンストラクション
「建造、建設、構造」などの意味だが、服飾用語として使う場合はコーディネーションをさらに進歩させた着こなし。組み合わせのテクニックを意味する。たとえば、シャツ、ベスト、ジャケット、スラックスがそれぞれ独立して、完全なルックスが組み立てられるようになった構成をいう。(「ファッション薀蓄事典」 邑 游作 アポロ出版株式会社 P196)
コンチネンタルスタイルの特徴
コンチネンタルスタイルの特徴は、自然な感じに見える肩線と鎌襟にある。肩は、アメリカンスタイルが戦後に打ち出したナチュラルショルダーとは少し違うもの。アメリカ発のナチュラルショルダーは、単純に体の線に合わせた直線的な仕立てだが、コンチネンタルスタイルのショルダーラインは自然な雰囲気に見えるように工夫された、いわざ人工的に整理された線である。たとえばアイビースーツのナチュラルショルダーには肩パッドが入ってないが、コンチネンタルスタイルの自然に見える肩線にはごく薄い肩パッドが入っていて、よりナチュラルで美しく見えるラインに補正されている。
コンツワードスタイル
コンツワードというのは海岸線という意味で、人間の身体の形にそった服装である。胴をしぼり、裾はフレアにし、肩を四角にしたもの。
コンティニュアス・タイプ
コンティニュアスは「絶え間のない、途切れのない」などの意味。転じて「区切れのない型」のことになる。つまり、スラックスのスタイルの一種でウエスト・バンドのないものをいう。(「ファッション薀蓄事典」 邑 游作 アポロ出版株式会社 P196)
コンバーチブル・カフス
コンバーチブルとは、変えられるという意味で、交換ができるカフスのこと。シャツの場合、片方にボタンがつき、両方に穴があり、ボタンでとめて着てもよく、カフスボタンを用いてもよいという両用のスタイル。
コンバーチブル・カラー
両用衿。ステンカラーのように衿元を開けても閉めても着られる衿型。
コンボイコート(Convoy coat)
ダッフルコートの別の呼び名。またはそれを模した防寒コートのこと。フードを付け、大型のパッチポケットなど、変わりデザインを特徴とする。だいたい膝丈となっている。